2020年は

 情報技術機器のヨーロッパ規格であるEN60950-1が、2020年12月20日、当初の予定より約1年半の延期期間を経て、とうとう失効しました。今後はEN62368-1に取って代わられます

 

 なお、EN60950-1の基となっている国際規格のIEC60950-1は、それ自体に有効期限があるわけではないのでそのまま残ります(今後はただ古くなっていくだけ)。日本においては、IEC60950-1を基にしたJIS C 6950-1:2016が電安法の技術基準の一つとして採用されていますが、JIS C 62368-1:2018というのも同じく既に技術基準になっているので、JIS C 6950-1:2016もあと数年で使われなくなることでしょう。旧版の時代から含め、約30年に渡り「きゅーごーまる」と呼ばれたこの規格は、次第に人々から忘れ去られていく運命にあるものと思います。

 

 私がかつての職場である認証機関に転職で入ったのは2002年5月13日でしたが、これといった研修も無かったあの会社で、「これ読んどいて」と初日に渡されたのがこの「きゅーごーまる」でした。その後10年間、他の規格もいくつか扱ったりはしましたが、安全規格の基本的な考え方の習得にはこれが基礎となりました。2020年は新型コロナウィルスの世界的な蔓延など、大変な事態に見舞われた(今もなお見舞われている)わけですが、私にとってもう一つのある意味で大きなイベントがこの「きゅーごーまる」の終焉です。とりあえず、合掌🙏


 2020年のイベントと言えば…、新型コロナウィルスが何やらかんやらってことで、5月か6月頃に、一人につき10万円の給付金というのが国から支給されましたね。私はそのお金で、下記の測定器を購入しました。

左:日置電機 パワーメーター3333(約4万円+校正費約1万円)

右:岩通 デジタルマルチメーターVOAC7522(約2万円+校正費約1万円)

 どちらも中古品です。パワーメーターの色は本当はグレーなんですが、少し汚れていて、拭いても取れない傷もあったので、ごまかすためにテキトーに青く塗りました(緊急事態宣言下の自粛期間は、そんなことをして過ごしてました)。どちらも10年もしくはそれ以上使用されていたと思われるのですが、外側に多少の汚れや黄ばみはあれど、中はピッカピカで、動作も良好です。こんなものが個人で簡単に買えるなんて、改めて思えば素晴らしいですね。

 

 パワーメーターの3333は、電流計と電圧計では測定できない消費電力の測定が目的です。またデジタルマルチメーターのVOAC7522は、ACモーターなどの温度上昇を、抵抗法で測定するのが主な目的です。ハンディタイプのデジタルマルチメーターもあるのですが、それによる抵抗測定では性能的に不十分のようだったので、4端子法による測定ができ、分解能0.1mΩのものを選定しました(おそらくそれで充分)。もちろんそれだけでなく、USBポートからの出力電流と出力電力の測定が1台で同時にできるなど、便利な機能もあります。

 

 どちらも特殊な測定器ではないのですが、いざレンタル会社から借りようとすると、なかなか都合良いスペックのものが都合良いタイミングで借りられるとは限らないし、そもそも個人事業主には貸してくれなかったりしますからね。購入から約半年、まだ1回程度しか活躍していませんが、今後バンバン活躍してくれることを期待しています。そのためにも、早くこのコロナ禍が落ち着いてほしいです…。