ネットショッピングなんかで

◆この製品は、安全規格適合品です!

この製品は、安全認証取得品です!

 

 こんな宣伝文句をよく見かけます。しかしそれを書く販売側も、目にする消費者側も、その意味を正しく理解できているでしょうか。

 安全規格とは、製品の安全性について定められた、最低限の基準です。自動車の運転に例えると、

・安全規格は「交通ルール」

・安全認証は「運転免許」

と言えるでしょう。交通ルールを知っていなければ、運転免許を取得できません。とはいえ、交通ルールをいくら厳密に守っても、交通事故を完全に防ぐことはできませんね。

 これを踏まえて、冒頭の文句を解釈してみましょう。


◆この製品は、安全規格適合品です!

⇒この人は、交通ルールを知ってます!(運転免許を持ってるとは言ってません。

 

 運転免許が無いのに運転しちゃダメでしょ、という話はここでは横に置いときますが、これはあくまで自己宣言です。その製品の製造者、輸入者あるいは販売者が、交通ルールを知っているということを根拠に、「交通安全」を主張している状態と言えるでしょう。大雑把に言えば、ヨーロッパのEU市場におけるCEマークや、電気用品安全法の◯PSEマーク(右上図の左)などがこれに該当します。

 

 消費者の立場からは、各事業者が交通ルールを「正しく理解し」、そしてそれを「きちんと守る」かどうかを直接知ることはできません。その事業者が信頼できる会社かどうか、社名(ブランド)やこれまでの事業実績、アフターサービス等で判断するしかないでしょう。日本では、自主的に安全性を確認しているきちんとした会社がほとんどと思いますが、残念ながら怪しい製品が市場に大量に出回っているのも現実です。

 

◆この製品は、安全認証取得品です!

⇒この人は、運転免許を持ってます!(事故を起こさないとは言ってません。

 

 一方これは、第三者による安全性の確認がなされていることを意味します。アメリカのULマーク、ドイツのGSマーク、電気製品認証協議会が発行する日本Sマークなどがこれに該当します。電気用品安全法の◇PSEマーク(右上図の右)も、実際には安全性の意味で怪しい部分が極めて多いものの、まあこれに該当すると言えます。

 

 誰かの車に乗せてもらう時、少なくとも運転免許を持っている人の運転でなければ、安心はできませんね。しかしそれでも、交通事故の危険は拭えないわけですが。更に言えば、免許を持っていても恐ろしい運転をするドライバーはいますし、自動車教習所にも厳しいところと緩いところがあるようで

 

 

 と、ここまでは消費者からの目線でのお話。製造事業者や輸入事業者にとってはどうでしょうか。

 安全規格と電気用品安全法はどちらも、頑張って文字を読み進めれば理解が深まるようなものではなく、経験に頼る部分が少なくありません。特に電安法は、理解すればするほど欠陥だらけであることに気付かれることでしょう。そして、電安法を守っても安全であるとはまったく限らない、真面目な事業者がバカを見る、そんな残念で腹立たしい実態に、愕然とされることと思います。


 製造事業者や輸入事業者が、安全規格や電安法に向き合う時、それらの要求内容を知って臨むか否かで、費やす労力もお金も大きく変わってくることでしょう。認証機関に依頼しなくてはどうにもならない部分は仕方ありませんが、自社でやれることは出来る限り自社でやるに越したことはありません

 

認証機関は事業者の味方ではありません

 

 丸投げは極めて危険です。大変な費用を請求される前に、どうぞご相談ください。