今朝、「世界最小・最軽量クラス!最大100Wの高出力! 超コンパクトチャージャー 」などとデカデカと書かれた、新しいACアダプターの広告をたまたま目にしました。形としては、従来のUSB充電器とそう変わらないものです。
で、電安法(PSE)について言及しながら安全性が謳われているのですが、残念なポイントがいろいろありまくりなので、ここでご紹介します。
→PSEマークは「取得」するものじゃないですよ。
後半はまあ、その通りですかね。PSEマークがあっても無くても、危険な製品はたくさんありますけど…。
→PSEマークは「取得」するものじゃないですよ(再び。もう触れないでおく)。
そしてこの書き方だと、あたかも「PSEマークの無い電子機器=危険」という意味に捉えられますが、全くそうではありません(ここでは説明を省きますが、PSEマークの有無と安全性との間には、必ずしも関係があるとは限りません)。それは置いとくとしても、そういう事例「も」あるってことなら、そうじゃない事例「も」あるわけで、PSEマークの有無と火災の原因との間の因果関係や相関関係については何とも言えないでしょう。
なお、電安法の対象ではない電子機器もいくらでも存在し、それらにはPSEマークを表示する方が違法です。そこまで含めて考えると、「PSEマークの無い電子機器=危険」というのは間違いであることは確かです。
→PSEマークは「認証」じゃないですよ。
でもって、ACアダプターは「直流電源装置」という電安法の対象品目ですから、このメーカーのこの製品に限らず、どんなACアダプターでもPSEマークの表示は法律上必須で、あるのが当たり前ですよ。無いのは違法で論外。外国の認証がいくらあろうが、日本での違法品と比べて安全だとか安心だとか言うのはナンセンスでしょう。
→PSEマークは第三者機関に「証明」してもらうものじゃないですよ(「期間」も間違い)。でもって、PSEマークは「認証」じゃないですよ(再び。もう触れないでおく)。
ACアダプターの場合、第三者機関(正確には登録検査機関)によって「適合性検査」を受ける必要がありますが、その結果出てくる「適合証明書」があるだけでは、PSEマークを表示することはできません。この製品は外国で製造された輸入品のようですが、日本にある輸入事業者はどうやって「適合性確認」をしましたか?「適合証明書」があるだけでは、「適合性確認」をしたことにはならないですよ?また、製造工場で実施された「自主検査」の記録は入手しましたか?
上記の通りいろいろとツッコミどころがあって、この広告を見る限り「正しい手続き」が行われているとは思えないんだよなぁ……(ボカシたところはブランド名)。
ゴチャゴチャ書きましたが、この製品そのものをバカにしたり、揶揄したりする意図は一切ありません。広告通りの製品ならきっと良いものだと思うんですよね。電安法があまりにややこしいために、外国のメーカーには特に理解し難く、こういうヘンテコリンな表記になってしまっているのでしょう。その意味において、電安法はある種の貿易障壁になっていると思います。この製品が本当に良い製品であったとしても、少なくとも電安法の実態を知る人が見れば、この広告においては怪しい製品であるかのように見えてしまっているわけですから。
というわけで、あくまで電安法の観点から見た時の「広告として残念な状態」のご紹介でした。
製品安全・PSEコンサルタント
オフィス イリエ/横浜市
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待ちに待った(?)電安法の解説本
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