製造物責任法(PL法)との絡み

 製造物責任法(以下PL法)は、電安法と直接的な関係はありません。そのため、これまで電安法に関わる業務として触れる機会は全く無かった、あるいは触れてきませんでした。しかし、多少はPL法の知識を入れておくべきと思い、実践PL法(第2版)』(日本弁護士連合会消費者問題対策委員会編/有斐閣)なんて本を買って読んでみました。この本、PL法を扱う弁護士向けに書かれたもののようで、馴染みのない専門用語がポンポン出てきて多少読みにくい部分もありましたが、大いに参考になりました。

 

 この本に電安法全く出てきませんが、電安法との絡みとして私が重要と思ったことは、下記の点です。

1.ただの輸入販売業者であっても、PL法上の責任を負うケースは大いにあり得ること

 「製造物責任」は、その製品を製造したメーカーのみが負うとは限りません。特に輸入品の場合、それを日本に輸入して販売した者も、責任を問われる可能性が大いにあります。輸入品をインターネットで販売されている事業者様は、どうぞご注意ください。

 

2.JIS規格等の技術基準を満たしていても、PL法的には全く充分ではないこと

 電安法の技術基準は、最低限度の安全性を規定したものに過ぎないわけですが、そのことはPL法でも明確なようです。つまり、技術基準を満足していることは(電安法の対象製品なら)当たり前の話で、PL法的には全く充分ではありません。なお、電安法の対象外の製品については、安全上の規制が何もありませんから、PL法に対してはより注意が必要となるでしょう。

 

3.リスクアセスメント

 「リスクアセスメント」とは、ものすごく簡単に言えば、その製品に関わる危険性の洗い出しです。その製品を購入して使用する際に、使用者にとってどういう危険性があるのか、そしてその頻度、危険の度合いを見積る、といった作業を行います。電安法ではリスクアセスメントの実施は必須ではないし、きちんとやろうとするとそれなりに労力がかかりますが、測定器や試験設備が必要なわけではありません。

 リスクアセスメントやその実施方法については、インターネットで検索するといろいろと情報が出てきます。それを参考にしながら、簡単なもので構わないので実施し、文書化しておくことをお勧めします。

 

 この本の後半に、PL法に関する実際の裁判の判例が載っていますが、事業者様にとってはこれがなかなか参考になるかと思います。自分がもし、何かの製品を輸入してインターネットで販売することを想像すると、これはかなりの勇気が必要になりますね・・・。